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もの作ることで幸せをいただいて、さらさらと暮らしたい

家と鋳物の薪ストーブ

新しい家には薪ストーブを置く。

今まで昭和で寒くて安い貸家を点々と住んできたが、仕事も落ち着き、いい感じの土地がたまたま売りに出てたので、買い、子猫も拾って元気元気。

その土地は散居村の農家の家で、周りは田んぼに囲まれている。勤め先も近く、市街地からもそれほど離れていない。母屋と納屋、有り余る土地と屋根付きの駐車場と柿の木、手入れの行き届いていない庭に木々が茂り、井戸水が汲み出さずとも自然にさらさらと湧き出ている。

まわりの田んぼはちゃんと管理され、初夏は水鏡、夏は青く、秋には黄金、冬は雪原、ぐるりと季節の移ろいに包まれる。晴れた日には立山の峰々を望み、庭の柿の木は受粉すれば甘い実をつける。

ほぼ理想の土地であり、ここに決めたわけだが、問題点がなかったわけではない。そこは相続人が相続放棄した土地で、金目のモノ以外、そのまんま置かれた状態だったのだ。まあ、その分相場よりは安かったので、こっちとしては好都合であった。相棒と今後のプランを考えながらのんびりと1年ほど掛けて処分、量的になかなか大変な作業であった。高度経済成長を経た2世代の物量の凄まじさよ。仏壇もあった。

母屋と納屋の片付けも一段落し、最初はDIYリフォームで~と考えていたのだが、勤め人の週末作業だとやはり限界がある。自力で全部やったとして完成するまで何年掛かるやら。とにかく立派な2階建ての母屋なのだが、間取りは住みづらく、一部床下がシロアリやられていたり、水回りはやり直さないと住めそうもないとかで、この母屋をリフォームして満足の行く家にするには途方もないコストや労力が必要だということで諦めた。

そこで何件か工務店に相談してみると、納屋リフォームという案を頂き、なるほど、それが良いだろうと設計をお願いした。納屋といっても2階建てで普通の住宅としても十分な大きさがある。平成に建てられたもので結構きれい。床下が土の母屋と違って、納屋の土間にはしっかりと厚く鉄筋入りのコンクリが打ってあり、しっかりしている。広大な古い母屋をリフォームするよりも、納屋を快適なお家にするほうが現実的であるということであった。

どうせやるなら理想の家をということで、YKKの複層ガラス樹脂サッシ窓とか水回りはTOTOのアイランドキッチンとトイレとお風呂、無垢材の浮造りフローリング、ちゃんとした厚い塗壁、そして薪ストーブである。

鋳物職人としての仕事柄、鋳物製品である薪ストーブを生活に取り入れるというのは夢であった。薪ストーブといっても鋳物だけでなく鋼板や石、壁に埋まったタイプなどいろいろな薪ストーブがあるが、やはり鋳物に拘りたい。

そこで選んだのがベルギー製のネスターマティンS43 B-TOPだ。鉄鋳物の本体と内部に鋼板とバーミキュライトを効果的に使い、薪の理想的な燃焼を実現している。針葉樹の多い日本に適して薪の材を選ばず、繊細な火力調整ができ、完全燃焼によって煙も少なく、効率も高いという。それとB-TOPモデルは天板の一部で300℃以上の温度による調理もできる。

薪ストーブを設置するのはいいが、次の問題は薪である。憧れて置いてみたもののライフスタイルを変えれずにホコリを被っているストーブも多そうだ。薪は買うと高い、近年はキャンプだなんだと需要も高まってさらに。河川敷でやっている処理木無償譲渡会も大人気。今のところは原木を買い、薪に加工するのがよさそうだ。斧とチェンソーが必要だ。庭は広く置き場も十分、薪割り作業が近所迷惑になるともない。軽トラもある。

他に燃料は職場で出る木材の端切れや木製パレットも燃料にもできるだろう。火の扱いには多少心得があるが、煙突が詰まらないように上手く炊けるだろうか。

家の工事も順調に進んでいる。工務店の工夫と細かなヒアリングのおかげで、なかなか理想的なお家になりそうだ。

壁や炉台や炉壁は施主施工でやろうとしてるので多少工期が伸びる、年内に完成させたい。