CaMiL

もの作ることで幸せをいただいて、さらさらと暮らしたい

大学四年生

 四年生、卒業、これからどう生きていこうとよく考える。つまり、仕送り無しで飯をどうやって食っていくかを考えなくてはいけなくなってきた。食える方法は幾らでもあるだろう、その中で自分で納得のいく選択を見つけたい。大学院に行ってこの選択をあと2年先延ばしにするという方法もある、けれどその選択は安易過ぎる、僕にとってリスクがまったく無い。それはつまりリターンが期待できないということになるのではないか。単純に考えて、その2年間の内にコンペとかにガツガツ出してキャリアをつけると考えれば悪くもないのだけれど、僕自身そんなガツガツした人間ではないので2年間のんびり過してしまいそうだというのが学校にい続けるのを受入れられない本音だ。例えばその2年間の学費を他に使えると考えれば、僕にとってもっといい選択がもっとあるだろ?と思ってしまう。研究職や専門職なら博士ぐらいまで行く意義があるだろうけれど、僕はどちらかといえば職人や作家の世界に近いのだから学歴や研究よりも、経験と実践を通してよりよい製品なり、実績作っていく方が必要だと思うのだ。専門とは関係のない会社に就職し、サラリーマンしながら作品製作というのも僕にとっては避けたい道だ。現実的でリスクは少ない。たぶん僕がこの道を進めば、自主的な作品製作もしなくなり、平日は仕事、休日はのんびり普通に過すに違いない。専門である鋳物の制作環境が整った就職先というのも選択肢のひとつで。工場、工房の類、こういうところはやる気さえあれば、就労時間外は基本的に自由に使わせてもらえるはず。しかし、そういうった環境でも僕はたぶん制作はしなくなると思う。僕にはまだ表現しなければいけない理由もないし、絶対作りたい何かもないのだから。性格上、休みを削って制作に必死になることは有り得ないだろう。

 これは2009年5月大学四年生の初期に書かれた文章です。結果として、二年間の学費や生活費を産地での修行期間に当て、一番最後の制作環境の整った就職となりました。でも、有り得ないことはないかもしれない。作らなければならないときは作ります。