CaMiL

もの作ることで幸せをいただいて、さらさらと暮らしたい

今日の一日

 朝から金沢美術工芸大学の学部生の卒業制作展を鑑賞。工芸科の作品は学内展示で観たが、他専攻のは初見。油画の作品で絵本形式の3DCGゲームがあって、完成度が高くてよかった。橋のステージをクリア出来ず、何度もしてたら、彼女にリセットを押され、話しが終わってしまった。もしかしてあれが最後なのか、どうなのか。また、観にいく機会があればチャレンジしてやる。自分でもプログラミングやらを以前触ってた経験もあって、どうやって作ってるのかが興味深かい。言語はHSPかしら。全般的に上手い。ところで、デザイン科ってなんてフリーダムなんでしょう。4年間こうやって過せるのはうらやましいような、ないような。どちらかというと僕は工芸でよかった、と確認。
 「ももや」で昼ごはんを頂き。お茶屋で茶葉をいただいて。広坂クラフトギャラリーで金工(娘)四人展を観にいく。モダンデザインというけれど、興味を持つのは大半ミセス以上なことがわかる。若い作家のつくる作品でも雑誌で取り上げられれば、その年齢層の雑誌のようだし。まあ、数万円もする手作りのアクセサリーなんか、街行くお洒落盛りの女の子なんて手がでないだろうなぁ。奮発して買うにも順番があるでしょうに。まず、服とかカバンでしょう。目立つものが先。それにそれをみる男にも関心も知識もないから余計に。まだまだ趣味的な範疇でしか市場のない工芸。しかし、近年、おしゃれ男子、女子ともにアートに敏感なのが一つのステータスとなっているようなところがある。美術館デートやら休日の過し方やら雑貨めぐり的な発展から数年後には工芸にまで手が伸びるか。東京でのナガオカケンメイが行った物産展には多くの若者が集まっていると聞く。他に、様々な取り組みが各地で行われ。工芸品に関心が集まろうとしているのは確実。色々みたり聞いたりするたび、工芸のこれからにワクワクする。
 その後、前々からのんびりとみて回りたかった尾張町へ。ここ尾張町は名古屋尾張から前田の殿様と共に職人を連れ、ここに町を作ったから尾張になったとか。古い建物が残り、おもしろい店がいまでもぽつぽつある。如何にも老舗な味噌屋や加賀麩の不室屋、油屋、筆屋、薬屋、お香の黒田香舗。その中でも僕は黒田香舗にお香を買いに行きたかった。外国のあまったるいお香は好かないけれど、日本の上品なお香は好き。お店の方にお香の説明をいろいろとしてもらって勉強になった。その説明によると、お香とは漢方と縁があって、お香の成分には漢方で使われる成分もあるそうな。気を落ち着かせたり、お香には種類によっても様々な効果があるとされているが。沈香には漢方の成分によって体も健康になるそうな。神にも仏にも自分にも人にもいい、贅沢なもんであるらしい。その沈香にも種類があって、まあ簡単に値段が違う。値段が高いほどくせがなく上品な香り、な気がする。蜂蜜と同じようなもんかしらね。白檀はただただよい香り。沈香は名だけあって、沈静効果あり。その上体にもよいというので、学生だけに金もないが、一箱3000円の沈香を頂く。既にどこの沈香かは知らないけれど、一箱持っているけれど、それとは全然香りが違う。沈香は上を見たら限がないそうな。沈香のいいものを伽羅というが、その伽羅にも年代や出来によって分けられていて、正倉院宝物にも二つの香木が収められている。たぶん、香木のなかでも価値的にはこれらの香木がもっとも貴重なのだろう。そのなかの一つに「蘭奢待」(らんじゃたい)という椎名の香木でいったいどんな香がするのやらというのがある。去年の正倉院展に全浅香という、もうひとつの香木が展示されてたが、見た目は、まあ、木の化石といったもんで、ガラスケースのなかだから匂いがするのかさえわからない。とにかく、香道の世界は恐るべき世界で「お金?なにそれ?」的な世界であることは間違いがない。
 尾張町の帰り、兼六園辺りでお茶をするため、ある喫茶店へ。店の名前は覚えていないが、ここは以前歩いて金沢駅から帰った夜中、店先でかわいらしく人懐こい猫ちゃんと戯れた思い出がある。営業しているのか不明な様子であったが入るなり、ベランダの窓全開にを掃除をしていたお店の方が店の電気を灯し招いてくれた。暖房もつけてなく、外の温度と変わりなさそうだったけれど、さっきまで歩いてたので寒くはなかった。店員さんの風貌も独特だけれど、置かれたメニューがまた独特で、かなりデッサン力のあるメニューで楽しかった。挿絵まで全部手書きの着彩画だ。画に感心しつつ、メニューの内容にも関心。なんとも興味深いメニューで今度またランチに来ようと彼女と約束をしたほどだ。焼きリンゴとコーヒーを二つ注文し。焼きリンゴが先に届く。大学にくるまで焼きリンゴなんてアップルパイの具としてしか食べたことがなかったけれど、食べ方次第でこんなおいしい食べ物なんだなと関心しきり。シナモンソースがうまい。コーヒーもうまかった。店員はおばあさん一人であるがとても元気で。以前店先に猫がいたのもたぶんおばあさんの猫だろう、店の置物にもねこのものがたくさんある。各テーブルに花は生けられて、さっきまで窓が開いていたために寒くないかとしきりに気にしてくれた。メニューにしてもお店の置物にしても愛情の溢れる人で気持ちがよかった。焼きリンゴもコーヒーもおいしい。ごちそうさま。
 彼女はバイトだというのでそこでわかれて、僕は家に帰り。さっそく買った沈香を利いてみた。線香型のもので一番安い(といっても3000円だけど)やつだけに自然な香りではないけれど、漢方っぽくも落ち着く香り。これでこの春休みに優雅にパソコンやら本が読める幸せ。