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もの作ることで幸せをいただいて、さらさらと暮らしたい

職を辞する

今年の初旬に退職した。

7年ほど勤め、役割を終えた感じがしたので次の仕事をはじめようと考えている。

一つのブランドの黎明期から成長の担い手となり、成熟期まで携われたのは学びがありよかった。

 

辞めたあとの6ヵ月間はCAD/CAMの職業訓練を受け、図面や機械加工基礎的なことをおさらいしておぼろげな知識しかなかったところを補ったりと過ごす。

職業訓練は自分で学べる人は有意義な仕組みだとは思うけど、先生に教えてもらうという姿勢だとまったく学べない感じであった。

学べなくても行くだけでお賃金がでるだけでもばらしいが、設備はめちゃくちゃいいのにもったいない。

 

今は、3Dプリンタを買ってごにょごにょしながら、鋳物の原型デザインなどの仕事をして手探りながら自由業をしている。

 

最近はこういうのを作っています。

 

 デザインと3Dデータをお手伝いさせてもらいました。

 

 

僕の進路はまだこの時と変わっていない。

変わったとすれば人に導いてもらうのではなく、自分で進まなくてはいけないということだろうか。

A's Video ConverterでTSファイルをMP4(H.265)エンコードする設定

我が家ではWindowsを録画サーバー化して地デジ放送を自動録画している。

エンコードの世界は深く果てしない感じがして、初見では複雑さ情報量の多さに圧倒される。

次々に新しい規格や技術の進化もはやく、数年前の情報では古く、Googleでも情報を選別するのがかなりめんどくさい。

 

 A's Video Converterの導入については以下のリンクを参照のこと。

ということで2019年10月時点において、AMDGPUでも高速にエンコードできるA's Video ConverterでTSファイルをMP4(H.265)エンコードの納得のいく設定を得られたので共有しておく。

 

はじめに

 TSファイルをできるだけ簡単にきれいで滑らか、劣化のないエンコードかつ元のTSよりも容量を小さく。

目的としてはまだファイル容量の圧縮は頑張っていないので、ほとんどのファイルが半分以下にはなる程度だ。

今のところ保存目的ではなく貯めて、気が向いたら見る程度で運用中である。

エンコード職人には到底及ばないが、うちの環境では問題のないエンコード設定となっている。

TSからMP4にエンコードすることでデインターレス(インタレース解除)処理がきれいにできるため、むしろ元のTSよりも鮮明な映像になる。

さらにはMadVRのフィルターを使えば元のTS映像よりもノイズが少なくきれいな映像に見えるはずだ。(特にアニメでは)

 

実写とアニメで設定が若干違うので該当の設定箇所で都度説明していきたい。

 なお、グラボや環境の違いによっては異なる結果になる場合があるので参考までにということでご理解ください。

 

22019/11/14追記:この記事はMadVR環境での検証結果です。

 

ビデオエンコードの設定

A's Video Converterのエンコード設定は[設定]から[トランスコード設定]を選択して行う。

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トランスコード設定(ビデオエンコード

ビデオエンコードの設定を変えることで圧縮率などを調整することができる。

最初の項目の[エンコーダ]はH.265に変更する。

現在このH.265エンコーダが高圧縮かつ高品質でGPUでのエンコードに対応しており高速に処理できるものだ。うちの環境では30分の番組を3分(350fps程)でエンコードできる。(エンコード速度だけならH.264のほうが速い)

[事前解析]と[VBAQ]は有効でも無効でも処理が増えるだけで映像にそれほど影響がないようなので無効にしている。

[レートコントロールVBR

[目標ビットレート]6000kbps

[最高ビットレート]14000kbs

と変更していく。

 他は難しいことは考えずに基本的には全部自動で問題はない。正直自分はここらへんはまだ触っていない。それよりもまともな映像にエンコードできる設定を探すまで理解したところだ。高圧縮に挑戦するならいろいろ試してみましょう。

 

オーディオエンコード設定

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トランスコード設定(オーディオエンコード

 オーディオは今回は触らない。MPEG4 AACで[ビットレート]を多少下げたところでわずかな容量削減にしかならない。

 

フィルタ設定

どのような映像を出力するかという、もっとも重要な設定項目である。

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トランスコード設定(フィルタ)

[ハードウェアビデオプロセッサ]にチェックし、設定を開く。

それ以外はチェックを外す。

 

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トランスコード設定(フィルタ ‐ 設定)
リサイズ

[リサイズ]にチェック。

地デジ程度の解像度なら[サイズ]は1280x720もあれば十分。

[高品質ダウンスケーリング]を有効にチェック。

 

デインタレース

インタレース解除ともいう。

設定は[デインターレース]にチェック。

[モード]はBob

これは非常に大事で左がBob、右が自動に設定された映像のGIFである。

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←Bob 自動→

 

Bob以外では画面がパンする(カメラが動く)映像があると猛烈にカクついて映像としてだめだ。(適応もまあまあいいがBobの方がきれい)

これはアニメでも実写でも同じ傾向。

 

[フレームレートを2倍にする]のチェックを外す。

[フレームレートを2倍にする]をチェックすると、下のGIFアニメのような現象が起きる。これも実写でもアニメでも同じである。

本来存在しないフレームが補完されるためなのか、動きのない文字やテロップに変なちらつきが発生する。 

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←チェックなし チェック有り→

 

[プルダウン検出]はチェックを入れておく。

よくわからないけれど、フレームレートを判定して処理を行うかどうかを検出してくれる機能のようだ。

 

フレームレート変換

TSの元のフレームレートは29.970で、実写映像の場合フレームレート変換でフレームレートを23.970に下げるとその分滑らかさを失う。代わりにデータ容量は小さくなる。

なので実写の場合は[フレームレート変換]のチェックを外したほうが引っ掛かりがなく滑らかである。

 

アニメの場合、アニメ制作の段階でフレームレート24で制作されているらしいので、29.970で再生すると動きがぎこちなくなり滑らかさが失う。むしろ余計なものを省いた元の映像に近いフレームレートに変換し戻すことで滑らかに再生することができる。

なのでアニメの場合はチェックを入れ、[フレームレート]23.970にすると引っ掛かりのない滑らかな映像となる。なぜフレームレートが24ではなく23.970なのかはここで追及しない。

 

GIFは実写映像の切り抜きとなっており、

左がチェックなし、右がチェック有りとなっている。

切り抜きGIFでは判別が難しいが実際の映像でみるとよくわかる。

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←無変換29.970 変換後23.970→

 

 ちなみにAMDのFluqid Motionをつかう場合はフレームレートは23.970でないと有効にならない。ちなみに最近買ったRadeon RX 5700XTはFluqid Motionに対応してないと後から知って、ショックを受けている。

 

デコード設定

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トランスコード設定(デコーダ

デコードの設定は最初に紹介したGigazineの通り。

[設定…]の中もいじらず初期設定のまま。

 

<おまけ> エンコードのBatファイル

うちでは録画終了後に録画後実行Batを設定して自動変換している。

ちなみに変換のBatファイルの中は

 

call "c:\Program Files\A's Video Converter\AsVideoConv.exe" "[ファイルパス]" "/p[プリセット名]"

 

のようになっている。

[プリセット名]はA's Video Converterに保存したプリセット名だ。

録画管理にEpgTimerを使ってる場合は

 

call "c:\Program Files\A's Video Converter\AsVideoConv.exe" "$FilePath$" "/pJISSYA"

 

のようになる。

 

<おまけ>テレビアニメとアニメ映画の設定について

テレビアニメのフレームレートは23.970が最適だが。

アニメ映画は無変換29.970のフレームレートでないとカクつく可能性が高い。

やはり映画となると30fpsに最適化された映像なのでしょうか。

 

おわりに

自分もエンコードに関しては右も左もわからない程度。

色々試してきたが画面のカクつきと文字などのチラつきがなくなれば映像としては申し分ないだろう。

フレームレートも適切なものを選べば再生も滑らかだ。

 

ただTSファイルを自前で録画できるようにするまでが結構大変なので、これから始める人は頑張ってググろう。

 

また、AMDに対応したエンコーダを開発されているBlueskyさんには感謝するばかりです。

エンコーダ以外にもDirectShowフィルタやキャプチャーやAMDドライバインストーラなど開発されているのでチェック!

 

 

6年ぶりにパソコンを換装

6年ぶりにパソコンを換装した。

グラボは途中壊れたりしたので買い替えたりしたが、今時のCADやゲームなどをするには辛いスペックになってきたので、新たなCPUやグラボや接続規格の情報を見るたび、ほしいと思ったものをAmazonのカートに入れる練習をしていたものだ。

 

AMDが第三世代RyzenなどIntelに挑戦するような新たなCPU、GPUを発表するなかで、数年前に比べるとかなりお手頃な価格でそれなりのスペックが手に入るし、メモリも安くなってきたしと、買わない理由がなくなってしまったのでついに購入を決意した。

いろいろネットを探索しているとAmazonよりもNTT-X Storeのセールがなかなか安いのを発見し。たまたまカートに入れてたCPUとグラボがナイトセール対象になり(人かAIが操作してるのか?)、メモリもAmazonよりも数千円安かったのでCPU、グラボ、メモリはNTT-X Storeで購入。マザーボードAmazonで購入することとなった。

 

換装作業は電源以外総替えなのでWindows10のシリアルが通るかが心配だったが、案の定シリアルが通らなかったがなんとかなって一安心。

そこらへんの内容はまた別記事で書くことにする。 (書きました↓)

 

 

今回の構成はこのような感じ。

なかなかミドルスペック(中の上)で性能的には満足です。

グラボをロングサイズじゃないのにしてみたのは今のケース(10年以上前のOwltechATXアルミケース)だとロングにするとSATA回りの取り回しがきついのと、HDDやSSDを置くところが無くなってしまうのでミドルな奴にしてみた。短い分すごい厚いが収まった。

このころのケースは使いやすさはイマイチだが、樹脂パーツが少なく全部アルミでできてるので非常に長持ちする。

フロントパネルの受け部分に一部樹脂パーツが使われていて、そこは劣化して割れてしまったが、3Dプリントで同じようなものをPLAで作って使っている。3Dプリンタ万歳!

メモリは換装前の16Gで結構ヒーヒーいってたので容量倍かつDDR3の1,598MHzからDDR4の3200MHzへ…。どれだけ性能上がったんだ?

 

最近のゲーミングPC向けデザインは好きじゃないが、ゲームが流行ればPCパーツも安くなるのでいい。

e-SportもVRの時代になったらほぼスポーツと変わらない領域に進化していきそうだし楽しみだ。

 

一応ベンチマークもしたので参考に掲載しておく。

  • 3DMARK
    • Time Spy
      • 9150
      • グラフィックスコア
        • 9050
          • Test1 61.65FPS
          • Test2 49.99FPS
      • CPUスコア
        • 9838
          • CPUテスト 33.05FPS

KISSlicerの日本語化

12月に3Dプリンターを個人用に導入して、情報収集と試作で年末を過ごす。

スライスソフトにはcureを使っているが、より細かい調整ができるらしいKISSlicerを試してみたい。

日本語化の情報が古いモノだったりすぐに見つからなかったので記事にしておく。

ファイルはV1.5用のものだがKISSlicer V1.6でも使える。

ソフト自体が多言語に不対応なのか3Dビュー内の表記が一部消えたり、完全な日本語化ではないがある程度日本語で内容がわかるのでありがたい。

オープンハードウェアが進んで3Dプリンターはお手頃価格になって普及期に入ってきたけれど、まだ日本のユーザーが少ないのか日本語情報が充実していないようだ。

移民政策は反対する

政治経済には詳しくはないが移民政策には反対する。移民政策は日本には必要がない。
 そもそも、少子化問題とか労働力不足とか、そういう問題の前に欧米各国が移民政策をとっているの最大の理由の一つとして、不法移民問題があるはずだ。国家の管理者である政府にとって管理できない人間、不法移民がいることはあってはならない。故に管理可能な正当な移民という仕組みが必要なのだ。なにもせず放っておいても、どんどん増えてしまう移民を正当性を持って受け入れる体制を整える必要があり。不法移民とそうでない移民の差別化し、外交的にも正当な移民だけを歓迎するという対外的な理由が必要である。欧米各国が移民政策が必要になったのは積極的なものではなく、国と国が隣り合う地続きの大陸では必然的なものであるはずなのだが、どうだろうか。そして現在、移民を受け入れている国々では移民政策の機能不全、テロ、差別など深刻な事態に陥っている。移民排斥運動と国境封鎖はセットである。
 欧米の移民政策の良い面だけをみて労働力不足の解消と、正式に国民となった移民たちが出生率を押し上げて少子化問題も改善されたという報告もあり。それなら日本でも導入を検討すべきという論もみられるが、それは短絡的で無責任な考えであると僕は思う。日本の論者が言う移民政策は安く働いてくれる都合のいい労働力がほしいと、それ一点ではないか。つまりは奴隷が欲しいと言っているのと同等であり、移民を道具としか考えていないように思われるのだが、どうだろう。
 移民がいなくても現在の日本には外国人研修生制度というものがあって、これも安い労働力として扱われ悲惨なところが多いように思う。単純労働を研修させてなにを学べるというのだろうか、学べるのは日本語ぐらいであり、日本語をちょっと話せるだけの人を雇うなら日本人のほうがいいのだし、彼らの存在価値は安い労働力というだけしかない。このような形で日本からもワーキングホリデーというスタイルで外国へ安価な単純労働者として渡っている。ワーキングホリデーも外国人研修生も移民もすべて同様で経営者視点からの目先の利益だけを考えた制度というのが僕の意見だ。移民や外国人が幸せになって日本国民も幸せになるような政策ならば、それは賛成であるが、現状に不満があって外国へ渡る、どちらかといえば不幸な人々を受け入れることは日本国民の幸福を増大させるものでは決してない。
 移民政策は一度受け入れるとやめることはできない、外国人研修生など限定的な受け入れはまだ管理可能であるため容認はできる。この制度にはあまりいい印象はないが。研修生本人が自国で働くよりも日本で働くほうがまだいいという現実もあるだろう。不法移民の流入が島国であるためかなり抑制できているのは幸いである。
 世の中でもっともめんどくさいこととは「管理」である。めんどくさいということはコストが掛かるということ。日本のようにそんなに管理しなくても社会規範が保たれ街がきれいなのは世界的に稀である。地理的にも民族的にも単一性を保つ条件が揃った国は日本ぐらいではないだろうか。そのような日本社会の中でも外国人が多く住む街で問題となるのはまずごみ処理や社会的なマナーの問題である。
 多様性が叫ばれる昨今、多様性を受け入れろと移民を勧める者もまた多様性を否定しているということに気がつかない。単一であることもまた多様であることの一様であることを忘れている。民族的多様性はアメリカに任せておけばいいのであって、日本は日本の独自性を以って歩めばいいだけの話。アメリカのマネをしたところで敵うわけもなく。日本の問題は外国に見習って解決するのではなく、自ら考えて解決していかなくてはいけないもののはずなのだが、そういう提案を示してくれる識者を知らない。
 それと、移民と難民問題は別である。難民受け入れは人道支援であり、戦争が終わって平和になった時に帰国できるように支えるという国際社会の義務であるものだ。
 また、外国人留学生は積極的に受け入れるべきであると思う。だからと言って国際化の名のもとに英語で授業されては本末転倒だが。欧米の見習うべきところに優秀な留学生が集まる大学があるということがある。優秀な留学生が増えることで治安が悪化することは考え難く、むしろ教育の質が上がり、新たな産業が生まれる人材である。

部分と全体

 リーダーとして全体を見て欲しいと言われるので考えている。全体ってのはあくまで結果であって、そんな風に見える、そんな風なものとして集まった集合体であるはずなのだが。
 テレビ画面のように赤緑青の三原色を点灯させて白色を照らすように、ようは理屈である。全体ってのはコントロールできない。コントロールできるのは個々の部分だけであり、個々の部分を変化させることによって全体がどう見えるのか変化させる事は可能だ。それを全体のコントロールと言うこともできるが、元を辿れば、部分をコントロールしたに過ぎない。部分をコントロールする手段が無ければいけない。画面の色を変える方法を知り画像を描く方法を知らなければいけない。
 実際に現場の管理者としてコントロール可能な手段というのは限られている。コントロールの範囲を拡大し、部分最適をし、結果的な全体最適まで繋がることが全体の改善であり。口先だけで、部分のコントロールよりも、全体をコントロールしてほしいというのは容易い。テレビ画面のリモコンでも操作しているつもりなのだろうか。現場で全体をコントロールするということは全体のすべてをコントロール可能で熟知しているということである。テレビ画面のようにすべてが計画された人工物ならそれも可能だが、人と人が集まる企業であり手づくりの生産工場である。
 それができるなら誰も何も困ることも考える必要も何もない。

仕事と人生

 工場の運営、人事等に関わっていると仕事と人生について考える。
 新卒採用でも中途採用でも今時の就職活動には面接と履歴書というものがついてまわるが、その内容は美辞麗句に彩られキラキラとしている。縁も所縁もない人が働きたいですと言って突然やってくるのは不思議だ。就職活動ってやつは「内定ゲーム」と言っていいような無節操な活動で、内定が目的であって、後々続く人生の事はそれ程考えられていないものだから、結局内定もらって働きだしても続かず、皆様にご迷惑をお掛けして去っていくことになる。20代のまだまだ定まっていない人はいろいろやってみて迷惑をかけながら学んでいけばいいと思うが。人生を自分で選択していかなければいけない。その自由さが人の生き方を複雑化させているところがある。ある一つのものを選択し決断するということは、他の可能性を捨てるということでもある。その選択の可能性をできるだけ先延ばし幅広くするということが日本の教育の失敗であるような気がする。今になって思うのは選択は早い者勝ちであるということだ。もし、働きたいと思ってる会社があるとして、それが大学の就活の時期になって突然、そう思ったのか。もしくは小さい頃からでも漠然と考えてコツコツと自らの専門性を高めて目指して来た業界や会社なのかでは仕事への適正という意味では雲泥の差が存在し、前者は専門性が高い後者に太刀打ちはできない。大学で学んだ事とはまったく違う会社へエントリーすることはよくあるようだ。でも、それは仮にであっても身に付けてきた自分の存在価値を捨てるということではないだろうか。教育は投資であって回収し、次世代へ再投資するためのものであるはずなのだが、それを安々と捨て去ることがまかり通っている。大学全入時代でもはや投資であるとかそういう意識もなくて「あー楽しかった」と消費されて終わってしまっているんじゃないだろうか。こういうことは奨学金問題とも繋がっているだろう。自分に投資した分を回収することすら難しいという問題なのだ。
 仕事に就いて働く、それは本来ありがたいことなのだが、気持よく働ける状況を作るというのは非常に難しいことだと実感している。中間管理職として経営陣と社員との間に入って色々聞いていると、お互いがお互いを貶し合っているような報われない状況というのがある。経営陣がギブアンドテイクなんだからギブしないといけないと言えば、あなた方は何をギブしているのでしょうかと僕は疑問に思う。今の給料以上の事を求めるならまず、ギブするのがギブアンドテイクなのではないだろうか。いや、社員が待遇改善を訴えているのだから、まず社員がギブするべきだと。いやいや、待遇改善は経営陣の仕事でしょうと、そうやって話は平行線を辿って結局なにも変わらないままというのが多いような。結局は皆、経営陣も社員も受動的で自らやって変えてみせるということまではしないのだ。経営陣は古い会社で何十年もそれでやってきた頭の固い人たちでもあるし、先行投資で社員の待遇改善というのは余程自信と決断がないとできないものだ。社員は目の前の仕事をやるというのが役割であって、そういうことは経営陣が決めることだと謙虚に考えている。本音としては余計な仕事はしたくないということだが。お互いが自己保身を優先して状況が打開できないというのは企業の問題として広くありそうな気がする。そこらへんを上手いこと調整していい方向へ持っていくのが中間管理職の腕の見せ所なのだろうが、果たして状況は改善されるだろうか。そういえば僕は中間管理職としてのテイクを一切貰っていない。
 就職先に縁も所縁もない人や大学で学んだことととは関係のない人に共通して言えることは人生上の出来事、ライフイベントの「一貫性のない人」というのがある。ライフイベントの道筋があっちへ行ったりこっちへ行ったり断絶しているのである。どこへ向かっているのかわからない人生。それは安定もせず、先は不安でなかなかスリリングではある。その対局にもっとも一貫性のある人として一般的なのは進学の時も就職の時も結婚の時も地元から出ない人であると思う。彼らの人生の一貫性は社会的に信頼に値するもので、それこそが社会の継続的な営みを可能としていると最近は思うのだ。一貫性のない人でも就職先で幾つかのライフイベントを経てその地に定着していくこともあるだろうけれど、少数派であろう。ライフイベントを一貫性のあるもにするために、地元に帰る人がいたりする。